親権

そもそも、親権ってなに?

親権とは、⼦どもの利益のために、⼦の監護及び教育をする権利及び義務を⾔います。
具体的には、⼦どもと⽣活をし、⼦どもと⽇常⽣活を送る権利です。
婚姻中は、⽗⺟が共同親権者ですが、離婚に際しては⽗⺟の⼀⽅を親権者として定めなくてはなりません。
そのため、離婚に際しては、どちらが親権者としてふさわしいのか、争いになることが多いのです。

親権者はどうやって決まるの?

協議離婚(及び調停離婚)にあたって、夫婦がどちらかを親権者とすることに合意ができる場合、離婚届に記載することによって、親権者が決まります。
親権者が誰かは、⼦どもの⼾籍に記載されます。
親権者が協議で指定できない場合は、裁判所が親権者を定めることになります。
親権者がどうやって決まるのかについての裁判所の考え⽅は、「⼦の利益(福祉)」にどちらが親権者である場合により叶うか、という基準で判断します。
具体的には、⽇常⽣活の状況、⼦と親の関係が重視されています。
裁判所は、現在の⽣活状況で特段問題がない場合には、現在の⽣活を維持する⽅向で親権者を決めることが多いのが現実です。
裁判で親権者を争う場合には、家庭裁判所調査官の調査が⼊ることがあります。調査官が⼦どもの⽣活状況を調査するのですが、この過程で⼦ども本⼈に事情聴取をすることがあり、その際にどちらで⽣活をしたいのか聞く場合があります。
離婚事件は夫婦の問題ですが、親権は⼦どもの将来の問題ですから、ここは夫婦の感情のこじれを⼦どもの将来に及ぼすべきではありません。
例えば、夫婦の⼀⽅が⼦どもを連れて別居した後に、もう⼀⽅に⼦どもを会わせないというケースが多発しています。
離婚にまで⾄る夫婦ですから、夫婦間の感情の⾏き違い、こじれはあって当然です。しかし、⼦どもは通常は、⽗⺟に対する愛情があるものですから、よほど具体的な⼦の利益の侵害のない限りは、別居後も親⼦の交流を維持すべきです。
近年は裁判所も、離婚後に親⼦交流を拒絶している⽗⺟は、親権者指定の判断にマイナスに働くとする運⽤をし始めています。
また、反対に、別居した相⼿⽅と⼦どもが同居している場合には、親権を獲得することは簡単ではありません。場合によっては、同居親を明確な根拠なく誹謗中傷せざるを得ないこともあります。しかし、離婚後は、夫婦関係は終了しますが、親⼦関係は⼀⽣続きます。離婚事件は、これからの将来を考える機会です。相⼿をこき下ろしてもなお、獲得困難な親権のための裁判を遂⾏するよりは、離婚後の⼈⽣を考えて、円滑な親⼦の交流を確保したほうが良い場合も多いはずです。

⼦の連れ去りがあるってホント?

普段は子の面倒をみていなかった親が、親権ほしさに、子供を連れ去り、子を不安定にしてしまうケースがあります。
別居前からの対策、別居後の⼦の引き渡しの仮処分等、状況に応じた対策を打つことが必要です。
この場合には、直ちに弁護⼠と相談しましょう。

離婚したら⼦どもどんな影響が出るの?

離婚というのは、⼦どもにとって、重⼤な喪失体験であると児童⼼理学では⾔われます。この喪失体験を克服する過程で、親権者の⼦どもへの接し⽅、精神状態が⼤きく関わるのだそうです。
時に、親権者が⼦どもに服従を強いることが、⼦どもの喪失体験からの再⽣を阻害することがあるとも⾔われています(児童思春期精神科医松⾕克彦医師による。)。
親権を争えば争うほど、⼦どもを愛し、親権を失いたくない親は、精神的な余裕を失い、⼦どもにその影響を及ぼしがちです。しかし、その愛情がゆえに、⼦どもの喪失体験からの再⽣を阻害することになるのです。
離婚係争中の親の精神状態は、普通ではありません。
このような精神状態にある離婚のときほど、サリュが隣にいることで、先を⾒据えて⼀歩⼀歩進むことができ、⼈⽣を豊かにするスタートが切れるはずだと私達は考えます。

⾯会交流

親権者じゃなくても⼦どもと⾯会できるの?

⼦どもと親の⾯会というのはとても⼤切な機会であると考えています。
たとえ、両親が離婚するにしても、⽗⺟がいつでも⾃分のことを気にかけていると知ることだけでも、どれほど⼼の⽀えになるでしょうか。
私達弁護⼠法⼈サリュは、具体的な不利益(例えばDV、同居親への誹謗中傷、連れ去り等)がないかぎり、⼦どもと親の⾯会交流を進めることが正しいと考えています。
しかし、頭では⾯会させるべきだと考えていても、現実には、いろいろな不安が⼼をよぎるのではないでしょうか。
このような場合には、第三者機関や代理人などが、間に⼊り、きちんと相⼿⽅と話し合った上で、⾯会に⽴ち会うこともして、⾯会を実現できるようにしていきます。

養育費の⽀払いを⾯会交流の条件とすることはできるの?

養育費の⽀払いは、親の⼦に対する扶助義務を果たすことであるのに対し、⾯会交流は⼦どもの福祉のために認められるものであるため、これらは直接的関係がありません。
なので、養育費の⽀払いを⾯会交流の条件とすることはできません。
養育費の⽀払いは親の⼦に対する当然の責任であり、⾯会交流は⼦どものためになるのであれば、実施すべきです。

⾯会交流の条件はどうやってきまるのですか?

⾯会交流の条件としては、頻度(例えば⽉に1回)、時間(例えば1回の⾯会時間が2時間)、⽅法(例えば宿泊を伴う、監護親が⾯会場所まで⼦どもを連れていく)、場所(例えば⾮監護親の⾃宅)などを定める必要があります。
この⾯会交流の条件を適切に定めることが、⾯会交流を円滑に進めていくうえで⾮常に重要になってきます。
私達弁護⼠法⼈サリュは、⾯会交流が⼦どもの成⻑や⼼の⽀えにとって重要であるとの考えから、⼦どもの⼼⾝への配慮のもと、無理なく続けられる⾯会交流の条件をご提案します。

養育費

そもそも、養育費ってなに?

親は⼦の⽣活を保持し、養育する義務があり、それは離婚をしても変わりません。この⼦どもの養育のための費⽤を養育費と呼びます(これに対して、婚姻中は婚姻費⽤と呼びます。婚姻費⽤と養育費の違いは、配偶者の⽣活費を含むか否か、です。)。
離婚に際して、⼦どものための養育費をきちんと決めておくことが、将来の⼦どものためですから、しっかりとした形で決めておく必要があります。

養育費はどうやって決まるの?

⼦どものための費⽤ですから、夫婦間できちんと話し合い、その額(⽉額を決めるのが⼀般的です。)やいつまでの養育費を払うのか(成⼈までが⼀般的です。)を決めるのが理想的です。
例えば、その家庭の状況、現在の学校や部活動、今後の進路等、は夫婦が最も把握しており、そして⼦どもの将来を考えて現在に⾄るわけですから、これらを踏まえた上で、いくらをいつまで負担するのかを決めるのです。
しかし、離婚に⾄る過程で、夫婦間の⼈間関係が破壊されていることも多々あり、養育費について話し合いが困難であることもめずらしくありません。夫の収⼊や⽣活費を無視した請求をする妻もいれば、別れた妻⼦には1円も払いたくないと感情的に考えてしまう夫もいます。
このように、話し合いが困難な場合に備えて、家庭裁判所が作成した基準があります。夫婦双⽅の収⼊と、⼦どもの⼈数、年齢から⼀律に養育費を算定するものです。
⼀般的な基準ですので、家庭の事情など個別具体的な状況は⼀切考慮しません。また、この算定表では養育費に不⾜することが多いとの意⾒も多数あり、新たな算定基準を提唱もされています(例えば、弁護⼠会)が、今のところは裁判所の算定表が基準として通⽤しています。
この算定表は、収⼊を重要な基準として判断しますので、相⼿⽅収⼊をきっちりと証明することが求められます。
相⼿⽅の職業から、その収⼊を証する資料が異なりますし、確定申告書も読み⽅を誤れば収⼊を誤ってしまいます。
私たちは、収⼊⽴証が⾮常に⼤切な交通事故のエキスパートでもありますので、この収⼊証明については⾃信があります。
妻側が相⼿⽅の収⼊を把握しておらず、相⼿⽅が源泉徴収票しか提出しない事案がありました。この事案で、相⼿の職業、住居等から他に収⼊(具体的には株式の配当による収⼊)があると考え、その旨主張したところ、数百万円の収⼊が別途発⾒されたということもありました(これにより、⽉数万円の養育費が増えるわけです。)。

養育費は⼝約束だけでも良いの?

協議離婚においては、養育費の⾦額について公正証書として残しておくべきです(その理由は、将来の不払い時に強制執⾏をするためです。)。調停離婚及び裁判離婚であれば、調書や判決書が作られるので、公正証書を改めて作る必要はありません。

⼀度決めた養育費の額が変更になることはあるの?

養育費を決めた時点から、状況が変更することがあります。
例えば、収⼊が減った(増えた)、⼦どもが増えた、再婚した、といった事情変更です。
この場合、養育費を決めた時点で想定していない事情であれば、養育費の 変更事由になります。
私が経験したケースですと、ほとんどの事例が再婚を理由とする養育費の変更です。具体的には、養育費を⽀払う側(夫でした。)が、再婚することとなり、新たな家族が増えるので養育費の減額請求をしたケースや、反対に⼦どもの親権者側(妻でした。)が再婚したために養育費の減額請求をしたケースです。
めずらしいケースとしては、離婚合意書(公正証書)で、親権者側(妻)が再婚した場合にその旨直ちに夫に連絡しなくてはならないという条項を付けていたのに、数年間にわたり再婚を秘匿していた事案で、再婚後の⽀払い養育費の返還及び養育費減額請求を申し⽴て、双⽅認められたケースもあります。

将来、⼦どもに⼤きな出費が必要になった時はどうなるの?

学費、特に⼊学⾦や、⼦どもが傷病の場合の医療費など、⼦どものために急を要する出費があります。
これは、具体的には養育費合意時に想定できませんから、養育費の合意のなかには含まれていません。
このようなことに備えて、⼀般的な養育費の合意書⾯では、「協議する義務」あるいは「相応分を負担」する義務を定めています。

養育費の不払いが横⾏しているってホント?

養育費は、離婚後、⻑きにわたって払われるものですので、さまざまな理由、リストラ、再婚など、によって不払いが起こる可能性があります。 離婚後、親権者は⾃らの収⼊や⾏政サービス、そして養育費を頼りに⼦どもを養育しますから、不払いが起こるとライフプランそのものが狂うことになります。
また、学費等の分担も、前述した通り、協議することになっていますが、協議したところで負担してくれるかは分かりません。
このため、養育費の不払いや負担拒絶を可能な限り避けることが⼤切となります。
対策としては、まずは合意をきちんとした書⾯(公正証書や裁判所作成書⾯)で残すことです。
次に、離婚後も、相⼿⽅と⼦どもとの⾯会交流を実施することです。毎⽉⼦どもの成⻑をその⽬で確認し、⼦どもと⼼を通わせ、⼦どもの進路や夢を聞いている親であれば、よほど経済的にひっ迫していない限りは、養育費を負担してくれるものです。
この親⼦間の絆の維持と発展こそが、養育費不払い対策の最たるものなのです。

裁判で離婚できる場合について

裁判までは考えていないのですが・・・

たしかに、離婚をするための⽅法には、当事者のみの協議で離婚をする(協議離婚)、調停委員と裁判官に調停してもらい離婚をする(調停離婚)、裁判を起こして離婚をする(裁判離婚)の3つがありますが、統計上は、協議離婚で離婚する⽅が約90%となっています。
もっとも、協議離婚や調停離婚をする場合であっても、裁判をした場合に離婚が認めてもらえるかの⾒通しを⽴てたうえで、話し合いに臨まなければなりません。なぜなら、財産分与、親権、養育費等の離婚条件について、どこまで強気に出るかは、交渉が決裂しても最終的に離婚ができるかどうかの⾒通しが⼤きく影響してくるからです。
このような⾒通しを無視し、特定の離婚条件に固執した交渉は、泥沼化した離婚紛争を招くことになります。まずは、裁判になった場合に離婚が認められるかを冷静に考え、そこから新たな⼈⽣を歩むにあたって、どのような⽅法で交渉を進めれば良いかを、⼀緒に考えましょう。

どういう理由であれば裁判離婚ができるの?

⺠法で規定されている裁判離婚事由は、以下の5つになります。

  1. 相⼿⽅に不貞な⾏為があったとき
  2. 相⼿⽅から悪意で遺棄されたとき
  3. 相⼿⽅の⽣死が三年以上明らかでないとき
  4. 相⼿⽅が強度の精神病にかかり、回復の⾒込みがないとき
  5. その他婚姻を継続し難い重⼤な事由があるとき

具体的に教えてもらえますか?

以下では、⼀般的に考えられる離婚の理由ごとに説明します。

相⼿⽅に不貞⾏為がある

相⼿⽅に不貞⾏為があるときは、裁判にいっても離婚できる可能性が⾼いです。
ここでいう不貞⾏為とは、相⼿⽅が、あなた以外の者と性的関係を結ぶことをいいます。例えば、相⼿⽅があなた以外の者と性交渉をもった場合などが典型例です。
もっとも、不貞⾏為については、その事実を強く指し⽰す証拠(例えば、⼆⼈でラブホテルから出てくる写真など。)が無い場合も多く、不貞⾏為を証明できる証拠があるかが重要になります。したがって、相⼿⽅の不貞⾏為を証明するための証拠を積極的に集める必要があります。例えば、相⼿⽅(または不貞相⼿)の不貞⾏為を認める供述を録⾳しておく、相⼿⽅と不貞相⼿の親密なやり取りがあるLINE、メールや⽇記等を画像保存するなどです。
私達弁護⼠法⼈サリュは、有利な交渉を進めるため、早期の適確な証拠収集をサポートし、不貞相⼿などへの慰謝料請求についても、損害賠償事件の豊富な経験を活かし、適正な賠償額獲得のサポートをします。
なお、不貞⾏為をした側からの離婚請求については、裁判所はかなり厳格な判断を下す傾向にあります。

性格の不⼀致がある

性格の不⼀致だけを理由に、婚姻を継続し難いとして、離婚が認められることはほとんどありません。
離婚を認めた裁判例では、性格の不⼀致に起因する、⻑期の別居期間、ケンカが絶えない、会話が全くなくなったなどの別原因も合わせて考慮されていることがほとんどです。

DVを受けている

⾝体的DVについては、⽇常的に執拗な暴⼒を振るわれた場合や重⼤な傷害を負わせるような暴⼒を振るわれた場合には、裁判にいっても離婚できる可能性が⾼いです。他⽅で、ありふれた夫婦ケンカ程度の暴⼒があった場合には、それ⾃体をもって、裁判で離婚できる可能性は低く、飲酒癖、侮辱⾏為、賭事などの他の事情を踏まえ、婚姻関係の継続が不可能といえるかどうかが⼤事になってきます。
精神的DVについては、⽇常的に罵られたり脅されたりしている場合等には、その内容、程度や期間等を踏まえたうえで、裁判で離婚が認められる可能性もあります。
DV が問題となるケースでは、当事者の間で⾔い分が⾷い違うことが多いため、証拠を残しておくことが⼤事になってきます。例えば、DVによる怪我の写真を撮る、診断書を出してもらう、相⼿⽅の⾔動を録⾳・録画する などです。

相⼿⽅の多額の借⾦や浪費で⽣活が困窮している

相⼿⽅の多額の借⾦により⽣活が困窮している場合、消費者⾦融から取⽴てがきている場合、相⼿⽅が怠惰で働くことをせず⽣活に困窮している場合などには、裁判で離婚が認められる可能性があります。

相⼿⽅親族との関係が険悪

相⼿⽅親族との関係が険悪というだけを理由に、裁判で離婚が認められることはありません。

財産分与

そもそも、財産分与ってなに?

財産分与とは、夫婦が婚姻中に協⼒し形成した財産を、公平に分配することをいいます。
財産分与の取決めは、通常、離婚前にすることになりますが、離婚後であっても、離婚から2年以内であれば、財産分与の取り決めをすることは可能です。
財産分与は、分配内容や財産額の評価などで争いが起きやすいところですが、私達は、婚姻期間中に形成された共有財産はお互いが築き上げてきたものですから、相⼿より多くの財産を取得することに固執せずに、⼆⼈の今後の⼈⽣の再出発にとって何が⼀番良いのか、という観点から取り決めをすべきだと考えます。とはいっても、相⼿がどのような思惑で交渉に臨んできたとしても、私達のサポートがあれば、不当に相⼿が財産分与を受けるということはありません。

どんな財産が対象になるの?

財産分与の対象となるのは、婚姻期間中に形成された財産(共有財産)に限ります。たとえ財産の名義が夫婦の⼀⽅にあったとしても、婚姻期間中に夫婦の協⼒により形成された財産であれば、財産分与の対象になります。
夫婦の協⼒により形成された財産が共有財産として分与対象となるので、例えば、別居している場合には、共有財産の範囲の確定は別居時点を基準として⾏われ、別居以降に取得した財産はそれぞれの特有財産となります。
他⽅、①夫婦が婚姻前からそれぞれ所有していた財産、②婚姻中に相続・贈与等相⼿⽅とは無関係に取得した財産や③婚姻後に購⼊した物であるが洋服等明らかかに夫婦の⼀⽅の専⽤品として使⽤されている財産は、特有財産は、分与対象となりません。
財産分与においては、的確に対象財産を⾒極め、対象財産の⾒落としがないように調査できるかが肝になってきます。
私達弁護⼠法⼈サリュでは、離婚を考え始めたけど離婚するかどうか決めかねているという⽅についても、ご依頼前から財産調査をサポートいたします。

分与の割合はどう決めるの?

現在の実務においては、分与割合を、特段の事情がない限り2分の1とする原則が採⽤されています(2分の1ルール)。したがって、対象財産の評価額の総額を2で割った額が、夫婦それぞれの基本的取得額となります。ここから、各夫婦における個別具体的な事情に応じて、分与割合の調整が⾏われ、夫婦それぞれの取得額が決まります。

分与の対象になる財産にはどんなものがあるの?

不動産

どうやって不動産の価値を決めるの?

評価額を調査するにあたっては、不動産鑑定⼠を利⽤することで信⽤性のある査定が可能ですが、鑑定料は数⼗万にのぼることもあり⾼額なので、費⽤対効果を考えると、不動産業者に査定を依頼し査定書を作成してもらえれば⼗分です。
他には、固定資産税の納税通知書記載の不動産評価額がありますが、これは課税のための評価額なので、あくまで補助的な資料であると考えておいたほうがよいでしょう。
住宅ローンが残っている場合には、不動産の評価は、時価から住宅ローン残⾼を控除して算出することになります。
住宅ローン残⾼は、⾦融機関に照会をすれば、「返済予定表」などといった書⾯を出してもらうことで、確認できます。

どうやって分与するの?

分与の⽅法としては、不動産を売却し、その売却⾦額を分与割合(基本的には2分の1)に応じて分与する⽅法と、どちらか⼀⽅が当該不動産を取得する⽅法があります。どちらか⼀⽅が取得する⽅法をとる場合、当該不動産の評価額と分与割合等を踏まえ、精算⾦の⽀払いにより調整することも検討しなければなりません。

預貯⾦

どうやって預貯⾦残⾼を調べるの?

相⼿⽅名義の預貯⾦に関して任意に開⽰してもらえない場合には、こちらで調査しなければなりません。なので、可能な時に、相⼿⽅名義の通帳の履歴を全てコピーしていた⽅が良いです。コピーする際には、だれの通帳であるかを明確にするため、表紙もコピーすることを、忘れないようにしましょう。
相⼿が開⽰拒否をしていることで通帳の内容を確認できない時は、裁判所を通じて、銀⾏から取引履歴を開⽰してもらう⽅法があります。ほとんどの⾦融機関では、10年前まで遡り取引履歴を開⽰してもらうことが可能です。このような時には、弁護⼠にご相談された⽅が良いでしょう。 もっとも、裁判所を通じての取引履歴の開⽰は、⾦融機関名と⽀店名がわからないと実現できません。そのため、相⼿⽅名義の通帳の⾦融機関名と⽀店名の調査は必須といえます。
なお、配偶者が会社勤めの場合、社内預⾦(会社が給与の⼀部を天引きするなどして労働者の貯蓄⾦を預かり管理する制度)や財形貯蓄(⾦融機関等と契約を結んで、⼀定期間にわたり定期的に給与から天引きされた⾦銭を積み⽴てる制度)により貯蓄がなされている可能性もありますので、社内預⾦や財形貯蓄の有無等についても調べておいた⽅が良いです。

⼦供名義の預貯⾦はどうなるの?

⼦供名義の預貯⾦であっても、実質的に夫婦に帰属していると認められる預貯⾦は、財産分与の対象となります。
実質的に夫婦に帰属しているか否かは、財産形成の趣旨・⽬的等にてらして判断されます。
例えば、夫婦が⼦の将来の学費に備えて⾏っていた預貯⾦の場合、実質的に夫婦に帰属している預貯⾦と判断されるでしょう。

⾃動⾞

どうやって⾃動⾞の価値を決めるの?

財産分与の対象となるのは、通常、中古⾃動⾞でありますので、当該中古⾃動⾞の評価額を調査する必要があります。
評価額の調査にあたっては、まず⾞検証等で⾃動⾞のメーカー名、型式、年式を確認し、⾛⾏距離計(オドメーター)で⾛⾏距離を確認します。
そして、その確認した情報を基に、当該中古⾞の取引相場を調査することになります。また、中古⾞業者やディーラー等に無償で査定してもらい、⾒積書を出してもらう⽅法もあります。
⾃動⾞ローンが残っている場合は、⾃動⾞の評価額から⾃動⾞ローン残⾼を控除した⾦額が、財産分与の対象になります。
⾃動⾞ローン残⾼は、ローン会社に問い合わせることで、正確な⾦額を把握できます。

どうやって分与するの?

分与の⽅法としては、売却してその売却代⾦を分与割合(基本的には2分の1)に応じて分与する⽅法と、どちらか⼀⽅が当該⾃動⾞を取得する⽅法があります。どちらか⼀⽅が取得する⽅法をとる場合、当該⾃動⾞の評価額と分与割合等を踏まえ、精算⾦の⽀払いにより調整することも検討しなければなりません。また、名義⼈以外の者が⾃動⾞を取得する場合、名義変更⼿続をしなければならないことに注意が必要です。

株式など

どうやって株式などの価値を決めるの?

上場株式の場合は、その市場価格(⾦融商品取引所が公表する各取引⽇の終値)が当該株式の評価額になります。経済新聞やインターネットで調査することができます。
他⽅、⾮上場株式の場合、市場価格がないため、株価の算定が必要です。この株価の算定には、配当還元⽅式や純資産⽅式等様々な⼿法がありますが、財務諸表等の会社資料の分析等、⾼い専⾨性が必要とされることから、公認会計⼠等の専⾨家に依頼することになります。医療法⼈の出資持分等の評価でも同様のことがいえます。
このような⾮上場株式や出資持分等は莫⼤な財産となることもありますので、うやむやにせずに、弁護⼠にご相談された⽅が良いでしょう。

どうやって分与するの?

分与の⽅法としては、株式等を売却してその売却代⾦を分与割合(基本的には2分の1)に応じて分与する⽅法とどうちらか⼀⽅が株式等を取得する⽅法があります。
⾮上場株式の分与の際には、会社の定款で株式譲渡に制限が付されている場合がありますから、名義⼈以外の者がこのような譲渡制限株式を取得するときや第三者に売却する際には、会社の承認⼿続を経ないといけないことに注意が必要です。このように名義変更を伴う場合には、会社法所定の⼿続を経る必要がありますから、弁護⼠にご相談された⽅が良いでしょう。

⽣命保険

⽣命保険が分与の対象になるってどういうこと?

⽣命保険には、貯蓄型と掛け捨て型があり、貯蓄型の場合には解約返戻⾦が発⽣し財産分与の対象となります。
この解約返戻⾦については、婚姻時から別居時までの保険料の払込期間に相当する解約返戻⾦相当額が、財産分与の対象となることに注意が必要です。また、掛け捨て型と思われていても、調査により解約返戻⾦の発⽣が判明することもありますから、⽣命保険会社にご確認された⽅が良いでしょう。

どうやって解約返戻⾦の額を調べるの?

解約返戻⾦相当額については、契約者から⽣命保険会社へ問い合わせることで確認できます。問い合わせる際には、保険証券等を確認し、証券番号と契約番号を控えておけば、確認がスムーズにできます。
婚姻前から⽣命保険契約が締結されている場合には、婚姻時の解約返戻⾦額と別居時の解約返戻⾦額を算定してもらいましょう。
なお、配偶者がどのような保険に加⼊しているのか不明な場合には、預⾦通帳の取引履歴を確認することにより、加⼊している⽣命保険会社や保険料の⾦額等を知ることができます。それがわかれば、弁護⼠会を通じて、⽣命保険協会に照会するなどして、保険の種類、証券番号、保険期間、被保険社名、保険⾦受取⼈、解約の有無等を調査することができますので、弁護⼠にご相談された⽅が良いでしょう。

どうやって⽣命保険を分与するの?

分与の方法としては、解約返戻金で財産を評価をした上で現金で清算する方法や、契約者や受取人を変更する方法があります。
契約を継続する場合で契約者を変更するときは、名義変更⼿続をとる 必要があります。また、契約を継続する場合で保険⾦受取⼈を、例えば、配偶者から両親や⼦などに変更する場合には、保険⾦受取⼈の変更⼿続をとる必要があります。

学資保険

学資保険が分与の対象になるってどういうこと?

学資保険は、満期受取⾦のみのものや、⼀定の年齢に達した場合に祝い⾦が給付されるものなど様々ですが、いずれにせよ、貯蓄型の保険であり、解約返戻⾦が発⽣します。
学資保険は、⼦供の就学のための資⾦を貯蓄する趣旨でなされますの で、財産分与の対象外と考える⽅もいらっしゃいますが、財産分与の対象となりますのでご注意ください。
学資保険の有無や解約返戻⾦相当額の確認⽅法については、⽣命保 険の場合と同様の⽅法によることになります。

どうやって分与するの?

分与の⽅法としては、契約を解約して⾦銭分配する⽅法と、契約をいずれかの名義で継続する⽅法とがあります。

退職⾦

退職⾦は全額分与対象になるの?

必ずしも全額が対象になるわけではありません。退職⾦は、勤続期間に占める夫婦の同居期間の割合に限って、分与の対象になりますので、婚姻前から会社で働いている場合や別居から離婚まで時間が空いている場合には、分与対象となる退職⾦の⾦額を算定する必要があります。

退職⾦が将来⽀払われる場合はどうなるの?

将来の⽀給であっても、退職⾦の⽀給される蓋然性が⾼ければ、分与対象となります。退職⾦の⽀給される蓋然性が⾼いことについては、勤務先の倒産リスク、給与減額のリスク、リストラのリスク、退職⾦の⽀給条件などを調査・検討したうえで、交渉することになります。
退職⾦の⽀給される蓋然性が⾼いとなった場合、実際には⽀払われていない退職⾦額をどう算定するかなどの問題があります。

相⼿⽅が財産を開⽰しない場合にはどうすれば良いですか?

相⼿⽅名義の財産内容を把握するには、登記簿謄本(登記事項証明書)、通帳や証書等の関係書類を確認する必要があります。
もっとも、中には相⼿⽅のみが把握している財産もあり、相⼿⽅がそれらを全て開⽰してくれるとは限りません。
したがって、家に送られてくる相⼿⽅宛の郵便物等で財産の存在がわかることもあり、通帳の記録から株式の配当、⽣命保険の⽀払い等がわかることがありますので、同居中であれば、相⼿の財産関係について調査しておいたほうがよいでしょう。
プライバシーの関係上、相手の財産内容の調査は容易ではありませんが、裁判所からの調査嘱託などを利⽤することで、⼀定程度の財産調査をすることができます。

婚姻費⽤

そもそも、婚姻費⽤ってなに?

婚姻費⽤とは、夫婦が共同⽣活を営み、婚姻共同⽣活を維持するための費⽤をいい、夫婦には相互に扶助義務がありますから、婚姻費⽤についても、相互に分担する必要があります。
婚姻費⽤の分担は、通常、収⼊の多い⽅から収⼊の少ない⽅に⾦銭を⽀払うことにより⾏われます。
婚姻費⽤分担により義務者の⼩遣いなどの⾦銭が無くなったとしても、それは、夫婦が婚姻⽣活において対等な⽴場にあり、相互に協⼒扶助義務を負っていますから、当然に受忍しなければならないことといえます。
また、私たちは、婚姻費⽤を不当に値切ったりすることで配偶者を傷つけ、離婚により新たな⼈⽣に⾜を進めるという考え⽅には賛同しません。

婚姻費⽤はどうやって決まるの?

夫婦相互の協⼒扶助義務に基づく費⽤ですし、婚姻費⽤には⼦供の⼊園料や急な病気による医療費など臨時的費⽤も含みますから、夫婦間できちんと話し合い、その額(⽉額を決めるのが⼀般的です。)や臨時的費⽤への対応などについて決めておくのが理想です。
しかし、別居に⾄る過程で夫婦間の⼈間関係が破壊されていることも多々あり、婚姻費⽤について話し合いが困難であることも少なくありません。夫の収⼊や⽣活費を無視した請求をする妻もいれば、別居した妻⼦には1円も払いたくないと感情的に考えてしまう夫もいます。
このように、話し合いが困難な場合に備えて、家庭裁判所が作成した基準があります。夫婦双⽅の収⼊と、⼦どもの⼈数、年齢から⼀律に婚姻費⽤を算定するものです。
この算定表は、収⼊を重要な基準として判断しますので、相⼿⽅収⼊をきっちりと証明することが求められます。
相⼿⽅の職業から、その収⼊を証する資料が異なりますし、確定申告書も読み⽅を誤れば収⼊を誤ってしまいます。
私たちは、収⼊⽴証が⾮常に⼤切な交通事故のエキスパートでもありますので、この収⼊証明については⾃信があります。
なお、算定表は、別居している夫婦間の婚姻費⽤を算定することを前提としていますので、同居中における婚姻費⽤の請求の場合には、使えません。

婚姻費⽤の未払いや払い過ぎがある場合はどうなるの?

婚姻費⽤の未払い及び過当払いがある場合に、そのような事情を、裁判所が考慮できるかについては、裁判例上、考慮できるとされています。

年⾦分割制度

そもそも、年⾦分割制度ってなんですか?

年⾦分割制度とは、国⺠年⾦から⽀給される⽼齢基礎年⾦に上乗せされる⽼齢厚⽣年⾦が、被保険者である者のみが受給権者となることから⽣じる、離婚後の夫婦間の年⾦額の格差を是正するために設けられた制度です。
要するに、厚⽣年⾦の被保険者でない⽅は、過去に収めた保険料に⾒合った年⾦しか、将来受け取ることができないことから、年⾦分割制度を利⽤することで、過去に収めた保険料の額を増やすように年⾦記録を書きかえる制度です。
このように、年⾦分割制度の対象は厚⽣年⾦保険に限られますので、婚姻期間中に厚⽣年⾦保険への加⼊期間があるかをまず確認する必要があります。

どうやって年⾦分割制度を利⽤するのですか?

年⾦分割制度を利⽤するには、年⾦事務所から情報通知書を⼊⼿し、分割⽅法を選択のうえ(合意分割か3号分割)、 年⾦事務所に所定の書類を提出し、年⾦分割請求をする必要があります。 分割⽅法により、分割対象期間や分割請求者などに違いが⽣じますので、年⾦分割制度の利⽤についても、離婚 事件の経験が豊富な弁護⼠法⼈サリュが最後までサポートいたします。

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